猫は君を永遠に愛します

永遠のテーマ【猫とは…猫の幸せとは?】

第9話 部屋に入ってきたルイちゃん

引っ越してきて1週間あまり「んな~んな~」と徘徊するかのように鳴いて姿を見せなかったルイちゃんですが…。

1ヶ月が経った頃、飼い主さんのベランダの室外機の上に座っているのを見かけるようになりました。
この辺りを全て網羅しつくしたのかなと空は考えました。

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飼い主さんの部屋のベランダの室外機のルイ

空がマナちゃんといつものようにアパートの後ろへ散歩に行った休日の朝の事です。
もし突然車や人が来てビビりのマナちゃんが部屋の中に逃げ込めるように散歩の時は少しベランダの窓を開けていました。
戻ってみると…
ルイちゃんが部屋の中に入っていたのです!
水をガブガブ飲んでいます。
そして飲み終えるとベランダから外へ出て行ったのです。
「お水をご所望だったのね」空は呟きました。
マナちゃんは嫌な感じだと思ったようですが、喧嘩にはなりませんでした。
なぜならルイちゃんがものすごく低姿勢だったからです。マナちゃんの様子を伺っているのが空にもわかりました。

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お水をご所望だったルイちゃん

月曜日~金曜日は会社に行かなければいけない空でしたが、ルイちゃんの飼い主さんの出勤が6時なので、空の出勤する7時50分までは時間にずれがあります。
水を飲みにルイちゃんが来てもある程度の余裕はあります。その週は3日間ルイちゃんが顔を出しに来ました。
どうやら飼い主さんが出掛けると直ぐに来ていたようでした。

次の土曜日の事です。
ルイちゃんは朝ベランダから部屋に入ってくると、マナちゃんとの距離を置くようにして座りました。
飼い主さんの様子はわかりませんが、車は駐車場にあるので家にいるはずです。

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部屋の中を伺うように入ってきたルイちゃん

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マナちゃんの様子を見ながら部屋の中に座ったルイ

スーパーに行くために空が玄関から出ると、丁度ルイちゃんの飼い主さんに出会いました。
「ルイちゃんが家に来ていますが」と空が言うと「そうっすか、実は俺は週に何度か夜の送迎のバイトしているんで。昨夜も送迎で」空はその答えに送迎が代行運転だと思いました。代行運転ではなく、ホステスさんの送迎だと知ったのは暫く後の事です。

その後、何度か立ち話をする間にルイちゃんの飼い主さんの事が少しずつわかって来ました。
「僕マラソンのためにこのアパートに引っ越してきたんすよ」
ここで初めてなぜいつも走って行くのかがわかりました。
「マラソンでは有名なんす、ここの管理会社の人も俺の事を知っていたし」

な・な・何なんですか~?

ルイちゃんが来てるって言っているのに自分の事を話すルイちゃんの飼い主さんに「そうですか、マラソン頑張って下さいね」と礼儀上そう言わざるを得ませんでした。
「へい、じゃあ俺走ってきますんで」
それだけ言うと走って行ってしまいました。

それからルイちゃんは空とマナちゃんの部屋に毎日来るようになりました。
マナちゃんと1年半暮らしてきたアパートに猫を飼う人が引っ越してきた事だけでも、空とマナちゃんにとっては大きな変化だというのに部屋に入ってきたルイちゃんに戸惑いを隠せない空なのでした。

戸惑いは始まったばかりですよ、空さん。
あらあら、影の声である私がこんな事を言ってはいけませんね。
続きは次のお話しで…。