第15話 可愛そうで仕方がない日々
ルイくんの飼い主さんと攻防が始まった時に戻ります。
どんどん寒くなる季節…
空は毎日ベランダに来るルイを置いて仕事に行かなければいけません。
マナちゃんはベットにペット用ヒーターを置いていますので3度目の冬もそこに入って空の帰りを待っていてくれます。
空はルイくんの飼い主さんに会った時「寒くなってきたけどペット用ヒーターを置いてあげたり出来ませんか?」と尋ねました。
飼い主さんはまったくその話しに耳を傾けようとはしませんでした。
空はベランダに来るルイ君に「お仕事いってくるから」と心が傷んで仕方がありませんでした。
この時点でのルイ君の体調状況をお知らせしたいと思います。マナちゃんが退院してからの事になります。
主治医の医師と看護師さんがルイを迎えにきて下さりワクチンと血液検査をしました。
ルイ君はエイズ感染、そして貧血がある事がわかりました。
マナは小さな頃にエイズ感染しているが判明しています。ルイくんの飼い主さんにも引っ越していらっしゃって直ぐにその事を伝えました。「大丈夫っす」と答えたルイくんの飼い主さんでしたが…。
ルイに感染したら大変だと思い、マナの食べた皿やお水を飲んでトイレも別々にして、ルイ君が接触しないように気をつけていました。
そ・そ・それが!
血液検査で判ったことがありました。
ルイ君がマナちゃんと同じエイズ感染だったのです。
主治医の先生はあまりエイズ感染に敏感ではありませんでした。
【ただ以前にエイズに感染したというだけの事です】と説明して下さいました。
それよりもルイ君の血液検査で貧血をすごく気にしていました。
ルイくんの飼い主さんにも血液検査の結果をお知らせしました。「おう!俺も貧血やしな」とまた自分のことばかりでルイくんのことは何1つ聞いていないかのようでした。
その後の日の事です。ルイくんの様子がおかしいことに気づきました。いつもモリモリ食欲旺盛なルイくんが何も食べません。空はすぐに獣医さんに連絡しました。
「ルイくんの血液検査の結果が悪く注射を続けなければいけませんので入院になります」との事でした。
空は会社に申し出て有給休暇をとり、入院しているルイくんに会いにバスで病院まで会いに行く日が続きました。
ルイくんにとっても初めての入院、空が会いに行くとルイくんはゴロゴロ喉をならしました。
「頑張ろうね、ルイ」
空が会いに行くと本当にうれしそうでした。
5日間の入院ですみました。
退院の日の午後、急な手術が入ったとの事で「明日お送りしますので」と言われました。
とにかく体も大きいルイくん。
空は退院できるのと思うと、とにかくルイくんに帰ってきてほしかったので、バスに必死で乗り込みルイくんを迎えに行くことにしました。
ルイくんのお薬をもらって、定期的にルイくんは血液検査を受けることになりました。
そんな11月の休日の事です。
空はマナちゃんとルイくんに「お買い物に行ってくるからね、直ぐに帰ってくるから」と言い残してスーパーとドラッグストアーへ出かけました。
その間に、マナの発情期が起こり「ただいま」と玄関の扉を開けると大変な事が起こっていました。
その日から2週間が過ぎた頃、ルイくんの血液検査とお薬、マナちゃんが妊娠しているかもしれないと医師に言いました。
エコーを撮った医師は「マナちゃんは妊娠しています、多分4匹赤ちゃんがいます」との事でした。
『私が気をつけていなかったせいだわ』
空は頭が真っ白になりました。
エコー写真を見ながら「ごめんねマナ、ごめんねルイ」とただ泣くばかりでした。
もちろんルイちゃんの飼い主さんにも報告をしました。
「マナは体が小さいから不安だけど、産ませてやってくれないか」との事でした。
空はその言葉を信じました。
しかし、とんでもない結末が待ち受けていました。
この続きは次のお話ししたいと思います。