猫は君を永遠に愛します

永遠のテーマ【猫とは…猫の幸せとは?】

第6話 突然引っ越してきた隣の隣の隣人さん

皮膚科に点滴に通う空。
様子見で1週間、女医先生は薬物アレルギーだとの診断でした。
しかし発疹だけではなく身体も弱っているとの事で、会社に出勤しても1週間に1度診察に行く日が続きました。

発疹は口の中や喉にも出てきました。特別な薬が処方されました。
だけど、だけどね!
この薬のために不思議な再会をするのです。
処方箋薬局に行くと取り寄せないと無い薬なのでとの事でした。
事務の方が、薬が届いたらお家まで届けますとの親切に言って下さいました。
なんて親切な方なのだろうと恐縮しがらお願いしますと答えた空でした。

2回目に薬を届けに来て下さった時の事です。
「実は私そこに住んでいるんです」
な・な・なんと~!
その方は隣の隣の3階建ての若くて優しいご夫婦の奥様だったのです。
このアパートに引っ越してすぐの事です。お庭のバラの花を見ていた時に「バラの花を1輪いただけませんか?」と言う空に惜し気もなく笑顔で1輪のバラを切って下さったのでした。

f:id:mannawith:20200206152038j:plain
優しい若いご夫婦からいただいた1輪のバラの花

「何で言ってくれなかったのですか!」と私はその奥様の肩を撫でて言いました。
「私ももしかするとと思っていたのですが、少しふっくらされて違う方かなと」

確かに空はマナちゃんと暮らし始めてから少し体重が増えました。1人で食べる生きて行くだけの食卓はマナちゃんと囲む楽しい食卓になったのですから。

f:id:mannawith:20200206152820j:plain
いつだって何だって一緒にしたいから…焼きたてのパンもマナちゃんが食べなくてもの空

世の中は本当に不思議なものです。
薔薇の花をいただいた5年前の思い出や空き地のおじさんのお話しも楽しく出来ました。

1ヶ月が過ぎた頃、空の体調はあまり良くなりませんでしたがようやく完治と言っても良いくらいになりました。

                     ●

そんなある日、仕事を終えてアパートに着くと何やら隣の隣の部屋の玄関の扉が開いています。
「こんにちは」と挨拶をする空。
「引っ越してくる方がいるので掃除に来ました。猫を飼っている人らしいです」と答える女性。
その方はアパートの管理会社の事務員さんでした。

すごい!安い家賃だから管理会社の事務員さん自らお部屋の掃除までして下っていることに驚きと同時に頭の下がる思いがする空でした。

「あの~隣の部屋の方は住んでいらっしゃらないようですが、引っ越されたのですか?」と空が聞きました。
「え~?引っ越しはされていませんよ。家賃も払っていただいています」とその事務員の方は掃除をしながら驚いたように答えました。

驚いたのは空です。
だって去年の秋に大々的な水漏れが隣の部屋にあってから住人である先生は住んでいなかったからです。
住んでいなくてもまだ借りていらっしゃる事が後々良かったと思うことになるとは、思いもしなかった空なのですが…。

どんな人が引っ越して来るのか?猫を飼ってる?
空はあまり気にはなりませんでした。
ところがところが…。
それは空にとり、またマナちゃんをも巻き込む試練の延長になることになるのです。

その翌日の事です。
いつものように仕事を終えて帰宅すると、バッタリと隣の隣の部屋の人が玄関から出てきました。
何だか話しかけるのも難しそうな若い男性でした。空は何となくそう直感したのです。
「あの猫を飼っていらっしゃると聞きましたが…」
「ええ猫いますよ」
とだけ言うと、どこかへ走って行きました。

空は自分の部屋に入るとマナちゃんを見て思いました『マナはエイズ感染猫、猫を飼っているなら言っておかなければいけないわ』

玄関を掃除して外に出ると、丁度引っ越してきた人が帰ってきました。
「あの飼っていらっしゃる猫は雄猫ですか?」と聞く空に「雌猫です」とその人は答えました。

【あの、家の猫はエイズ感染しているのですが】と空は必死の思いで言いました。
「大丈夫っす」とだけ言うと扉を開けて部屋の中に消えてしまいました。

な・な・何ですか~!
【大丈夫っす】の言葉に開いた口が閉まらないような空でした。

この人なんなんですか~!がこの後も続くことになるのですが、続く次のお話しで…。