猫は君を永遠に愛します

永遠のテーマ【猫とは…猫の幸せとは?】

第7話 2度あることは3度ある?

マナを送り届けてくれたカスミちゃんに会った日から数日経ちました。
ずっと会いたくて仕方ありません。

そんな日がつづいた早朝のことです。
近くのクリーニング店のおばさんが、片手にビーグル犬のハルちゃんのリードを持ちながら駐車場の隅の草をとっています。

「おはようございます」と声をかけました。
「あなたの所の猫は元気?」

なぜマナの事を聞くのかといえば…
1年半前にマナを拾った朝、クリーニング店のおばさんが一部始終を見ていたのです。
抱き上げてアパートの部屋に連れて行こうとしていた時です。

「飼うの? 可愛い子じゃないの」

「とりあえず仕事休んで病院に連れて行きます」

おばさんは、猫を飼うことを是認しているような賛成しているような優しい笑顔でした。

拾った翌日のマナ
マナを拾った朝のエピソードはさておき…
カスミちゃんの話しを続けます。
昔ながらの個人の店は町内について詳しいものです。
クリーニング店のおばさんならば、もしかするとカスミちゃんを知っているかもしれないと思いました。

「大きな犬と猫2匹を連れて歩いている方に最近お会いしないのですが」

「散歩していますよ、まっすぐ行って左に曲がってすぐの家」
さすがはクリーニング店のおばさんです。
散歩をしているということは、また会えるかもしれないと思いました。

その数日後のことです。
な・な・なんと!
おじさんが黒い大きな犬のリードをひいて歩いてくるのが見えました。
カスミちゃんと牛柄の猫も一緒です。

【2度あることは3度ある】

黒い大きな犬の撫でて撫でての猛アピールにこたえながら、今度こそカスミちゃんについて聞こうと私は必死です。
「あ、あのカスミちゃんは…」と私が言いかけると、おじさんが話し出しました。

「カスミは家の前で痩せて弱っていたのを保護したし、アヤメはスーパーに捨てられていたのを保護したんだ」
そして続く話しが、この辺りで猫を見かけなかった事を明らかにするものでした。

2回目に出会ったマナとカスミちゃん
「家内が猫好きでね、捕獲器を仕掛けたりして去勢や避妊手術をしたんだ。家には最高で40匹ほどの猫がいたよ。今は7匹かな」

その話しを聞いて頭をよぎったことがあります。
私は以前住んでいた村で、1匹の推猫を飼っていた人が去勢手術をしないで外に出していたために、何十匹にも増えてその辺りの道路を歩いただけでも猫のオシッコの臭いがするほどでした。
天気の良い日は猫が道や庭で座っているのを見かけました。
すごい数になった猫が2~3匹になりました。
村の一軒の家のご夫婦が、自分たちの貴重な年金で去勢避妊手術をしたことを後で知りました。
そしてもう1つ…
クリーニング店のおばさんが教えてくれたお家の前を通った時に玄関で猫をブラッシングしていた方に「かわいいですね」とチラリと挨拶をしたのがおじさんの奥さまだったことも。

おじさんが話してくれたことで、カスミちゃんや牛柄の猫のアヤメちゃんの事を知ることが出来ました。
そしてこの辺りで猫を見かけなかった理由も知ることができたのでした。

【ならば、マナはどこから来たのでしょうか?】
そんな事を考えながら、大きな黒い犬のリードを持ち後ろに猫を2匹従えて歩く後ろ姿を見送っていました。

「こっち見んといて(見ないで) 猫が怖がって付いて来なくなるから!」
と言うおじさんの言葉にペコリと頭を下げてビビりのマナの待つ部屋に戻ったのでした。

前話で必死になってカスミちゃんを探しに来たおじさん。
カスミちゃんとアヤメちゃんを大切に思っていることは私の心に突き刺さるかのようでした。

この先も猫が私の前に現れることになるのですが、この時には思ってもいませんでした。