猫は君を永遠に愛します

永遠のテーマ【猫とは…猫の幸せとは?】

第8話 世間知らずだと教えてくれた猫

黒い大きな犬のリードを持ち、猫2匹を後ろに従えて歩く姿。
それは非常な驚きでした。

カスミちゃんが「カッカッカ」と私に向かってクラッキングした時
【お宅の猫を連れて来たよ、ほらここだよ】
確かにカスミちゃんが、そのように言っていることを直感で悟りました。

辺りを伺うカスミちゃん
そして2回目にカスミちゃんだけが来た時
【元気にしてる?心配で見に来ちゃったわ】
という言葉のない心が私にはわかりました

今まで1年半、猫に会ったことがなかったマナ。ビビりだけどお茶目なマナ、
そんなマナが世間知らずで危なっかしい存在だとカスミちゃんに教えらたのです。
そして人間にはわからない他の猫達との連絡網のようなものがあるのではとカスミちゃんを見て思った事でした。

猫が集まる猫会議がひそかに存在しているとも聞いた事があります。
外猫さんばかりではなく、時折外に出してもらえる家猫さんも猫会議に出席しているのかもしれません。
どこにどんな猫がいるかを、指揮をするボス猫に報告したりしているかもしれないということも。

猫は人間とある程度距離を保つ独立的な生き物であると思うことがあります。
それは猫が夜行性の動物であるからでしょうか。
猫の時間は人間の時間と鏡のように反対に回っているような気持ちにすらなります。

カスミちゃんとは、3回目に会った日を境に会うことがなくなりましたが、その数日後のことです。
早朝クリーニング店の方で慌てた声を聞きました。
「ハルちゃんがリードを付けないで後ろにいたので驚いて持ってきました」
「いつの間にハルは…ありがとう」
見るとクリーニング店のハルちゃんを抱っこして片手にリードでつないだ猫を持つ女性の姿が見えました。

そうです!ここに引っ越してきた当時、リードを付けて猫の散歩をしている人がいることを聞いていました。
引っ越して5年、私はその様子を見たいと思っていました。
ハルちゃんをクリーニング店のおばさんに手渡すと、その方は走り出しました。
私はまたまた必死です!
猫にリードを付けて散歩する方の後を追って走りました。

リードを付けて散歩している猫に会えた!
一軒のお宅の前に到着しました。私のアパートから本当に近いお宅です。
するとビラを手に持っている美しい女性が、その方に何かを話しています。
私が近づくと「猫を探しているんです。よろしくお願いします」とビラを渡されました。

○○町?
かなり遠い所です。休日の朝早くです。本当に本当に大変だなと思いました。
庭で飼っていたそうですが、いなくなったとの事でした。
こんなに遠くまでビラを配って探している美しい女性を見て、ただただすごいと思いました。
そして「○○町の看板猫のいる喫茶店によく似た猫がいるとの連絡をうけて行ってきましたが違っていました」とその女性は言いました。
私は「え~!」とまたまた驚いてしまいました。
猫にリードを付けて散歩していた方を見かけて追い付き、そこで猫を探している女性に出会い、加えて看板猫のいる喫茶店のことまで!
本当になぜ今まで5年間、猫に出会わなかった私が続々と出会うのか不思議でたまりませんでした。
私は「ここの突き当たりを左に曲がって直ぐのお家は猫に詳しいかもしれません。行ってみて下さい」と言うと、私はマナの待つアパートへ引き返しました。

それから1か月後、会社の近くの店舗に私がもらった【猫を探しています】のビラが貼ってあるのを見て、いなくなった町からかなり遠い所にまで探していらっしゃる事、まだ見つからない事を知ると同時に、朝ビラを配っていた女性の顔が浮かぶのでした。

カウンターで水を飲む看板猫さん
看板猫さんの喫茶店を通って会社に行く日もありましたが、なぜか看板猫さんに会えませんでした。
気になってランチタイムに赴きました。
『何となくが気になって』が当たってしまうことを、私は思ってもいませんでした。