第1話 猫を見かけない
アパートの後ろで鳴いていた子猫を拾ってから
1年半が絶とうとしていました。
私は子猫にマナという名前をつけました。
このアパートに引っ越してから
なぜか猫というものを見かけたことがありません。
家で猫を飼うようになると自然と猫が寄ってくるとか、
外猫さんに会ったと聞く事があります。
それなのに…
見たことがないのです。
ところが、ある日アパートのベランダに1匹の猫が姿を現しました。
ここから不思議なことが起こり始めたのです。
この時マナは驚いて部屋の奥に隠れました。
私は「猫だ!初めてだわ」と言うと側にあったスマートフォンで写真を撮りました。
もしかするとこの猫がマナのお母さんかしら?
この辺りで猫を見かけたことがないので、とにかくマナのルーツを知りたくて仕方ありませんでした。
【マナはどこから来たのだろう】
拾った日に動物病院に行った時、医師に聞きました。
「捨てられたのかもしれないし、母親が子猫を連れて巣渡りをしている時にはぐれる事もありますが、何とも言えませんね」
マナの状態は3日3晩雨の中の不衛生な場所にいたせいか蚤はいたものの猫風邪も軽く状態は良かったと思います。
【マナはどこから来たのだろう】
いつもこの思いが頭から離れませんでした。
その大きな猫はもう一度ベランダに現れました。
この時のマナは威嚇して唸りましが、私が横にいたためかケンカにはなりませんでした。あまり相性が良くなさそうです。
しかし、この後驚くべきことが起こります。