猫は君を永遠に愛します

永遠のテーマ【猫とは…猫の幸せとは?】

第11話 信頼できる医師との出会い

朝になっても苦しくて寝たきりのマナちゃん。
「何とか持ちこたえてマナ」
空は泣きながら診てくれる病院を探します。

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どんどん容態が悪くなるマナちゃん

タクシーで行けそうな病院が見つかり、電話をかけました。
マナの昨日からの様子を伝えると「昨日診てもらった病院に行ったほうが良いのでは?検査も二重になりますし」と受付の方が言いました。
「私は車がないので、その病院までとても行けそうにないのです、お願いします」と必死でお願いする空です。
「わかりました、では連れて来てください」

空はタクシーを呼び、マナちゃんをキャリーバックに入れました。
病院まで行った時の記憶がありません。空はそれくらい動揺していました。
病院に着いた診察時間が早かったためか直ぐに見てもらえました。
血液検査とレントゲンの結果や昨夜のマナちゃんの様子を見た医師は「病名は未だわかりませんが息を吸うだけで吐けないようですね。酸素室に入ってもらうことになります」との事でした。
マナちゃんの細い腕に点滴の針が注されて固定されました。
マナちゃんが酸素室に入ると「何か変わったことがあれば連絡して下さい」と看護師さんに言うと、空は病院を出てアパートに戻りました。

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マナちゃんの細い腕に点滴が固定されました

帰りのバスは混んでいました。空は吐きそうになるのを堪えるだけで精一杯でした。
ようやくアパートに着くとマナちゃんがいないことの事実を見ました。
「マナがいない、マナがいない」
どこを見てもいつもは仕事から帰宅した時は、マナちゃんが待っていてくれました。狭いアパートですので、そこここにマナちゃんがいた姿が目に浮かびます。
「マナがいない」それは空にとっては耐え難い苦しみでした。

翌朝は会社に連絡してお休みをもらいました。
そして病院が開く9時に合わせて「マナは大丈夫なのだろうか?マナに会いたい」の一心で面会に行きました。

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酸素室のマナちゃんに空は声をかけることしか出来ませんでした

「どうぞ」という看護師さんに連れられマナちゃんがいる酸素室のある部屋に通されました。
マナの細い腕には点滴が繋がれていました。
少しおびえた表情のマナちゃんがいました。
点滴の管を引きずって何歩か歩いて近づいて来るマナちゃんを触ってあげることも出来ません。

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少し元気になったように見えたマナちゃん

酸素室にいるマナちゃんの表情を忘れる事が出来ませんでした。
そして空は以前見た事のある動画を思い出したのです。
それはなくなったお母さんの側を離れず雨水で喉の渇きを潤し、お母さんの元に食事を運ぶ子猫の表情です。子猫は疲れていますがお母さんの側を離れずにいるのです。


彼女はお母さんの死体の世話をします。動物の危機EP1
https://youtu.be/XzF3BT7M-Cw
Kritter Klub YouTubeより

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具合が悪くて寝ていた空にネズミを持って来てくれたマナちゃん

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マナちゃんを拾った日から1分でも早く会社から帰らなくてはと必死だった。そんな空は保育園に我が子を迎えに行くお母さんと同じでした。
マナちゃんの入院、空自身の入院や薬物発疹、これでもかと夏期休暇と有給休暇を取る日が続いたのでした。

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ただただ空の帰りを待っていたマナちゃん

空はマナに会いたいの一心で午前午後と面会に行きました。看護師さんから「病院へ深夜に行ったとのこの事でしたのですが うちの先生とやはりマナちゃんを診察して良かったと話しました」と言われた時は本当に良い医師に巡りあえて良かったと思わざるを得ませんでした。

マナちゃんが入院している時にルイくんがベランダへ来て「にゃ~」と鳴きました。その日は雨が降っていました。空は「ごめんねルイ、マナは入院してるの。本当にごめんね」とマナの病院へと出かけました。

翌日もルイくんはベランダに来ました。マナに面会に行った後の帰宅した時だったのでルイくんを部屋に入れました。
まだまだマナちゃんが病気と闘っているので、空の心は哀しみと不安でいっぱいでした。
いつものように机でカリカリを食べるルイくんに空は顔を近づけて撫でていると不安が少し引くのを感じました。あれ?もちろんマナちゃんがいないとずっと泣いていた空がその時だけは涙が止まったのです。それは、空にとって不思議な感情でした。

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ルイ君を部屋に入れた空

マナちゃんは点滴と酸素室で順調に回復しているようです。9月23日(月)~27日(金)の入院でしたがマナちゃんのいない日々は空にとっては不安と淋しさと哀しみのために長く感じました。

ようやく退院したマナちゃんがアパートに帰ってきて1番にした事はフミフミチュッチュでした。
空もマナちゃんも一緒にいられる幸せを感じています。
空はマナちゃんの命を救って下さった医師に本当に感謝しました。それと同時に、この医師なら大丈夫だとの確信を持てたのです。

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フミフミちゅっちゅをして満足したマナちゃん

退院した翌日と翌々日は土曜日と日曜日なので空の仕事はお休みです。
2日間マナちゃんの様子を見ながら過ごせます。
ルイくんがベランダに来たのでご飯をあげてマナとの様子を見て過ごしました。

月曜日はやはり自分の生活のために会社に行かなければなりません。
マナちゃんが退院してきたばかりなのに、ルイちゃんを部屋に入れて仕事に行くことは出来ませんでした。
毎朝、空の部屋のベランダに来るルイに「ごめんねルイ、ごめん」と喉に込み上げる涙を押さえて仕事に行くだけで精一杯でした。

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仕事に出掛ける前に空に甘えるルイくん

マナちゃんが危機を乗り越えて貴女の所に戻ってきてくれたことは、奇跡ですよね。
マナちゃんのがんばりに本当に感謝しないといけませんよ。多分貴女はまだそれを知らずにいると思うのです。本当に猫を飼うのが初めてだとかばってあげたくなりますが…まあ影の声である私は貴女自身が気づく必要があるので黙っていましょうね。

ルイちゃんの事で今からまだまだ空に難しい問題が口を開けて待っているとは思わずに必死で「遅刻する~」とバス停へ走る空なのでした。